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前回(後編)から引き続き、傳來(でんらい)工房さんの会社見学会の様子をレポートしています。
これまで前編後編の2回に渡って長々と書いてきましたが、今回でようやく最後回となります。


日々の改善を怠らず長年コツコツと環境整備に取り組み、実績を上げてこられた傳來工房さん。
地道な取り組みではありますが、信念を持って日々淡々と実践することにより、一進一退を続けながらも確実に会社の体質が変わると言います。
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【日々の実践、やがて“臨界点”へ】
そしてある日、それは臨界点を越えて次々と奇跡が訪れたそうです。
光を当て続けた氷がジワジワ溶けてやがて水になるように、山積していた問題が解決に向かい、物事がスムーズに流れ出し始めたのです。
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【最高の営業活動とは・・・】
「とても綺麗な工場ですねぇ」。
「社員さんの挨拶が本当に素敵ですね」。

来社されたお客様からそういった声を頂くことが多くなったそうです。
すると社員達は環境整備の効果を実感することになり、益々やる気も出てきます。

①工場は最高のショールームに変わった
日々の環境整備(業務改善)のおかげで自信を持ってお見せ出来る工場に。
作業効率の向上とともに製品の品質やサービスも向上。
ゆえに残業が減り、従業員も公私ともに充実。

②お客様が最高の営業マンに変わった
製品やサービスにご満足頂いたお客様がリピーターになり、更に他のお客様を紹介してくれるようになる。

③社員が最高の商品に変わった
製品の品質が良い上に、社員全員の雰囲気も良い。
声を掛けて頂きやすく、初めてのお客様でも安心して頼みやすい。

⇒“基礎力”の向上に従って顧客満足度が上がり、仕事の引き合いが増える。

ひいては社員のみならず、関わる全ての人達の“物心両面の豊かさ”が実現していくようです。
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またこの活動は様々な方面に波及し、「日本そうじ協会 掃除大賞 文部科学大臣賞」などの表彰や各種メディアで紹介を受けるようになり、今では“環境整備のお手本”として、全国から沢山の人々が会社見学に訪れるまでになったそうです。


このように環境整備が独自のカルチャー(文化)として根付き、大躍進を遂げた傳來工房さんですが、未だ現在進行形で進化を続けています。

それでは、その具体的な取り組みを見ていきましょう。
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【環境整備の基本、3定】
整理整頓を行う際、3定(さんてい)という考え方を指針にします。

3定とは・・・最も使いやすく、戻しやすく、管理しやすく、しかも美しく、道具や材料などを配置することです。
①定位置・・・決められた場所に(最も生産効率の上がる場所)
②定品・・・決められた物を(決められた場所意外に置けない)
③定量・・・決められた量だけ置く(欠品を起こさない最小の量)
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こちらは営業事務所のデスクの引き出しの中身です。
必要最低限の文具しか入ってないでしょ?
パソコン上での作業が多いですし、これで十分仕事が出来るそうです。

使ったらすぐ定位置に戻せば無くなることはないですし、次に使う時に探す時間も省けます。
今時は安価なボールペンですが、一本を使い切ったことはありますか?
この方式にしてから、それが当たり前となったそう。

一つの一つの道具を長く使えるようになるのも3定の効果のひとつ。
侮るなかれ、長い目で見ればそれはかなりの経費節減にも繋がるそうです。
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発泡ポリエチレンシートを品物の形状にくり抜いて3定を明確化。
それを“形跡管理(姿置き)”と呼びます。
ちなみに傳來工房さんでは、営業職で入社した人の最初の仕事は自分のデスクの中にこちらを作ることだそうです。
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【“感動レベル”を目指す】
前編でもご紹介しましたが、こちらは営業事務所の文具のストックを仕舞っておくための棚です。
3定が守られているだけではなく、見た目の美しさも伴っているでしょ?
普通なら扉がある棚の中に隠して収納したくなるところですが、あえて見せるようになっているのが特徴的。
これならすぐに取り出せますし、何処に何があるか一目瞭然です。
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こちらの文具棚には社員の皆様が日々培ってきた創意工夫がギュッと詰まっています。
傳來工房さんでは環境整備を“お客様目線で徹底的に磨き上げる活動”と定義されていますが、こちらにはその理念が端的に表現されているなと私は思いました。

「凄い!ここまでやるのか・・・」。
と私は思わずつぶやいてしまいました。

「来客者がほとんど入ってこない事務所内の棚にまでこだわる必要なんて無いんじゃないの?」。
と、普通は思うかもしれません。
しかしそういった思い込みは捨て、“振り切った実践”が肝心であるようです。
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最近はペーパーレス化が進み、紙の書類は減っているそうですが。
どうしても減らせない書類も美しく収納されていました。
背表紙にラインを入れることでファイルの位置を明確化し、管理しやすくなっています。
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【“コピー用紙1枚づつ”の積み重ね】
この様なことが一朝一夕で出来るものではありませんし、一度にやろうとすると嫌になってしまいますね。
そう、“コピー用紙を1枚ずつ重ねていくようなイメージ”と、おっしゃっておりました。
頑張らずに僅か0.1ミリの改善でも良い。
現状に満足せずに、問題点を見いだすことを意識し、皆でアイデアを出し合いながら創意工夫を続けていくことが大切だそうです。

またその様な活動が、普段の仕事(ものづくりの現場)にも活きてくると言います。

それでは、ものづくりの会社である傳來工房さんの心臓部、工場の様子も見ていきましょう。
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やはり営業事務所以上の徹底した環境整備がなされていました。

鋳物工場というと、私的には大きな炉で溶かした金属を砂型に流し込んで鋳造製品を作っていく作業イメージがありましたので、場内は煙と鉄粉とホコリで多少は汚れているものだと思っていましたが。
一歩工場に入り先ず驚いたのは、思っていた以上に置いてある“物”が少ないことと、床に一切のホコリなどが落ちていなかったことです。

老舗の鋳物工場ですから建物自体はとても古いものですが、きちんと掃除行き届いており非常に清潔感がありました。
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とても感じの良い工場長さんに案内して頂いて工場を見学。
こちらはコンパクトにまとめられた工具置き場です。
もちろん“3定”に基づき、“定位置”、“定品”、“定量”をしっかりと守られています。
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探す時間を省くために、使用頻度を考慮し分かりやすく工具を配置。
スペースの無駄を省くために、必要最低限の工具だけを置き、消耗品類はそれぞれの使用頻度を考慮した必要最低数を在庫します。
消耗品の在庫に欠品が出ない様にスムーズな発注の仕組みも整っておりました。
営業事務所の文具棚に負けず劣らず、ご紹介しきれないほど様々な創意工夫が詰まっています。
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こちらはお客様に配布する商品サンプルの棚です。
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それぞれの商品サンプルも“3定”を守りQRコードで管理。
しっかりとIT化もなされていました。
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ちょっとしたデッドスペースを活用した収納棚。
スパナやペンチと言った工具を仕舞っています。
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前述の営業事務所のデスクの引き出しのように形跡管理がされており、工具を置く場所にはその工具のイラストが描かれていました。
こうすることにより、どの工具が使用中なのかが一目瞭然。
ここから別の場所へ工具を持ち出す場合には、隣接して設置されたホワイトボードにその旨を記入します。
工具自体にも置き場所を識別するステッカーが貼られており、必ず戻ってくるという仕組みです。
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他にも思わず「いいね!」ボタンを連打したくなるような素晴らしい什器が沢山ありました
それら全てをご紹介することは出来ませんが、実は全て社員達の手作りだと聞いて驚きました。
まさにお客様目線で製作された、機能性を考え抜かれた逸品ばかり。
この辺りは流石、普段の業務で製作されている製品レベルをうかがい知ることが出来ます。
緑色の塗装も自分達によるものらしいですが、なかなか綺麗に仕上がっておりました。
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こちらは普段の業務で余った材料や部品を取っておくための収納箱です。
環境整備的に様々な造作をする場合は、こちらの什器に入っているものを活用するとのことです。
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ちなみに環境整備において一度にかけるお金は一応1万円以内と決っていて、そのために残材などを活用します。
アイデアを実現するのにそれ以上の金額が掛かる場合は、その必要性を皆で話し合い是非を決めるそうです。
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普段の業務の中でそれぞれが不便に思うことや、問題点などを取りまとめ、それを改善するアイデアを出し、具体的にアクションを実践する。
傳來工房さんでは、そのような業務改善にまつわる全ての活動のことをシンプルに「3定」と呼んでいました。
もちろん、3定活動も必要に応じて就業時間内にしっかりと行います。


弊社は3Sや3定などの環境整備活動に取り組み始めたばかりなのですが、傳來工房さんの取り組みを拝見し、橋本社長からもアドバイスを頂いて、とても勉強になりました。
今回の会社見学会を機に、私達の取り組みも更に進化させていきたいと思います。
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そんなこんなで、あっという間に半日の会社見学会が終了。
やはり現地に足を運び、実際に目で見て、肌で感じて、はじめて分かることがあります。
とても充実した時間を過ごさせて頂きました。
本当にありがとうございました。


これにて“環境整備”会社見学会レポートは完結です。
傳來工房さんよりご教授頂いた内容を、薄らいでゆく記憶を辿りながら長々と書き綴ってまいりましたが、いかがだったでしょうか?

分かりやすく文章を書くって難しいものです。
私の独りよがりな乱文であったとは思いますが、皆様に現地の雰囲気が伝われば幸いです。


最後までお読み頂きまして誠にありがとうございました。
次回のブログもお楽しみに。


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