当ブログをご覧頂きまして誠にありがとうございます。

いつもは主に家具塗装の様子などをご紹介させて頂いていますが。
今回はオーディオ用のスピーカーを塗装する様子をご紹介したいと思います。
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先日お客様より塗装のご依頼を頂き、お預かりしたスピーカーはこちらです。
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お客様の方でデリケートなスピーカー機器(ユニット)部分を取り外して頂いた状態でヤマト急便さんを使ってご自宅から発送して頂き、木製の箱(エンクロージャー)部分だけを弊社塗装スタジオに搬入して頂きました。

オーディオに詳しい方はご存じかもしれません。
こちらは「バックロードホーンスピーカー」と呼ばれる特殊なスピーカーです。

バックロードホーンスピーカーについてはネット検索して頂けると様々な記事をご覧になれます。
第6回:バックロードホーンは、なぜ市販スピーカーにないの?
↑こちらのウェブサイトでその概要を分かりやすく説明していますのでご紹介します。

バックロードホーンスピーカーはその特性上、一般販売されることはなく、ごくごく限られたメーカーによって受注製造されるようなディープなマニア向けのスピーカーなのです。
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ちなみにこちらはカネコ木工様製のスピーカーです。
バックロードホーン&長岡鉄男スピーカー,手作りスピーカー制作のカネコ木工
※現在はバックロードホーンスピーカーの製造・販売を休止しています。

代表の金子さんは大のオーディオ好きで、それが高じて本業の家具の製造の合間でスピーカー製作もされていました。
今回お預かりしたスピーカーは長岡式D-37と呼ばれるタイプのもの。
オーディオ界隈では有名な、伝説のオーディオ評論&研究家の長岡鉄男氏(1926-2000)が設計したスピーカーを忠実に再現した逸品なのです。

カネコ木工様では“Dー37 K(カネコさんのK)”という名称で製造・販売されていました。
長岡鉄男氏設計のバックロードホーンスピーカーの製造・販売に関しては、生前のご本人の了承を得ていたそうです。
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写真引用:カネコ木工様のHP
その製造工程などもカネコ木工様のHPでとても詳しく紹介されていますので、ご興味ある方は是非ご覧くださいませ。

カネコ木工のホームページ 塗装のページ
なぜ私がこちらのスピーカーについてそんなに詳しいのかと言うと・・・
実は以前、カネコ木工様のスピーカー塗装のお手伝いをさせて頂いていたからであります
お客様は、当時カネコ木工様のスピーカーを“塗装無し”でご購入されて長年ご愛用されてきたようですが、使用感が目立ち始めてリフレッシュをお考えになり、上記のウェブページをご覧になられて弊社に塗装をご依頼頂いたようです。

そう・・・カネコ木工様が2004年(約18年前)に大宮ソニックシティーで開催された試聴会に出展された時は、現地にお手伝いに伺いました。
その試聴会で聞いたバックロードホーンスピーカーはまさに異次元の音質。
素人の私でもその違いが分かるくらいの臨場感。
ディープなオーディオの世界を垣間見て、とても驚いたのを覚えています。
・・・あぁ、懐かしい
久しぶりに再会したバックロードホーンスピーカーに感慨もひとしおでありました。
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さて、それではこちらのバックロードホーンスピーカーが美しく生まれ変わる様子をご紹介していきましょう。
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先ずはマスキングから。
塗装ミストやホコリなどが内部に入らないようにカバーをしていきます。
こちらは正面のユニットが取り付けられる部分です。
ユニットを固定するためのボルトのメスネジ部分も塗料が入らないようにしっかりとガード。
爪楊枝の先にマスキングテープを巻いたものを穴に詰め込んでいます。
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スピーカーの底面も含めほぼ全面塗装になるので、マスキングする箇所は少ないのですが。
裏面の小さな端子部分もカバーしなければなりません。
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マスキングテープをクルッと巻き付けました。
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次に木地をサンドペーパーで研磨をし、表面の汚れや毛羽を削り落としていきます。
こちらの工程は素地調整と言います。
上の写真はエアサンダーという機械を使って研磨をしている様子です。
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フィンランドバーチ合板で作られたスピーカーです。
表面をしっかりと研磨することで、フィンランドバーチの美しい木目が際立ってきましたね

スピーカー2台、全ての面の素地調整が終わったら、下準備が完了。
いよいよ実際の塗装作業に入ります。
これから木地に着色を施し、幾重にも塗料を塗り込んで厚い塗膜を付けていきます。
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愛着のあるスピーカーがどんな塗装工場で作業されるのか、またどんなスタッフが実作業を行うの
か、やはり気になるものです。
お客様には事前に弊社の塗装スタジオに足を運んで頂き、私達の雰囲気をご確認して頂きつつ、数ある色見本帳の中からお好みの色合いをチョイスして頂きました。
そして、こちらの“コールドブラウン”という色に決定しました。
カネコ木工様の塗装のページではツヤツヤの“鏡面仕上げ”を推していましたが、お客様のご希望は艶消し。
「スピーカーを設置する部屋の家具に合わせて艶消しにしたい」とのことで、今回は“5分艶消し”に決定しました。


少々長くなりそうなので、今回はこの辺で。
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次回は実際の塗装作業の様子を詳しくご紹介していきます。

最後までご覧頂きましてありがとうございました。
次回もお楽しみに。

後編に続きます~


●ニシザキ工芸株式会社塗装部HP
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