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塗装部の小池です。

今回のブログはテーブル天板の塗り直しの様子をご紹介したいと思います。
比較的ご依頼の多いテーブルの塗り直しにおいては、これまでも沢山の施工例をご紹介していますが、今回ご紹介させて頂くのは少々変わったケースでした。
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お客様よりお預かりした品物はこちら。
オークという材種の無垢材で作られたテーブルの天板です。
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現状の塗装仕上げは、自然な風合いが特徴のオイルフィニッシュ。
ブラウン色に調合されたカラーオイルが塗布されていました。
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とある家具屋さんにお願いして特注で作ってもらったそうですが、しばらく使っていくと不具合が発生
天板に肘や腕をつくと洋服にカラーオイルのブラウン色がついてしまい困ったという。

オイルフィニッシュはその名のとおり、オイルを木地に浸透させ家具に保護力を与えます。
表面にはほとんど塗膜が付かないので、そのナチュラルな仕上がり感(木質感を活かした見た目や手触り感)が魅力的なのですが、塗膜が付かないがゆえのデメリットもあります。
  1. 耐久性があまり高くない。木地に水分などが浸透しやすく、汚れやすい。

  2. 木地着色(オイルステインやカラーオイルなど)を行った場合、表面を擦ると色落ちしやすい。

  3. 半年~1年程度の頻度で、表面の汚れをサンドペーパーで削り、オイルを塗り直すなどのメンテナンスが必要。

  4. 植物由来のオイル(乾性油)は硬化時に酸化反応で発熱します。オイルを染みこませたウエスなどが熱で自然発火し、火災の原因になる場合があるので、ご自分でメンテナンスされる場合には注意が必要。
以上の点を十分にご理解された上でオイルフィニッシュを採用することをおすすめします。

ご自分の手でメンテナンスを行いながら、じっくり経年変化を楽しめる塗装仕上げなのですが。
使用頻度が高く、比較的ハードな使い方をするであろうダイニングテーブルのような家具にはあまり向かない塗装仕上げなのかもしれません。
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お客様のご要望は「色落ちせず、汚れても簡単に拭き取れる塗装に塗り替えて欲しい」ということでしたので、耐久性の高いウレタン樹脂塗装に塗り直します。
今回は天板のみをお預かりしたので、脚部との違和感がないよう、現状の色合いや雰囲気に近づけるように作業を行います

さぁ、作業を始めていきましょう。
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先ずは表面を有機溶剤を使って拭き取り、表面のオイル成分をある程度除去しておきます。
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ほら、落ちてるでしょ。
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それでも、完全に落すことは出来ませんが。IMG_3712
溶剤で表面が濡れ色になっているうちに、塗装見本帳で現状の色合いを拾っておきます。
「“ココアブラウン”と“マロン”の中間、気持ちパープル(紫)がかっている感じ」
感覚的で曖昧な色の記憶を、なるべく具体的な形でメモしておきます。
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溶剤が揮発して乾いたら、表面をサンドペーパーで研磨をしてオイル塗装を削り落としていきます。
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サンダーという機械を使ってパワフルに削り落としていきます。
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無垢の木材ですから、オイルが染みこんだ表面をひと皮剥く勢いでしっかりと研磨。
これから塗装するウレタン塗装に不具合が出ないように、完全にオイル塗装を除去します。
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木口部分の飾り面は、形を変えないように指を使って優しく研磨。
オイル塗装を完全に落すように時間を掛けてしっかり行います。
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綺麗になった木地に、顔料系の着色剤で色をつけて、下塗り(ウッドシーラー)を塗装した状態。
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表面を塗膜でコーティング。
木質感のあるオイルフィニッシュの雰囲気に近づけるため、下塗りはあえて適度な薄塗りで。
耐久性の高い2液型ポリウレタン樹脂塗料を使用しました。
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下塗りが乾燥したら、塗料で毛羽立った表面を平滑にするために研磨を行います。
サンドペーパーを当てすぎて、木地着色が取れないように注意します。IMG_3786
そして、仕上げ工程を行っていきます。
仕上げ用の透明塗料(フラットクリヤー)を塗装していきます。
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元の色合いを再現するため、途中でカラーリング(補色)工程を行い、塗装の色合いを調整。
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カラーリング工程では、調色した染料系の着色剤を表面に吹き付けて、色を濃くしていきます。
パープルがかったブラウンに調色した着色剤で色調整を行いました。

そして・・・
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↑施工前
↓施工後
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オイルフィニッシュから耐久性の高いウレタン塗装へ。
なるべく元の艶感に合わせるために、ハイマットな(150%艶消の)フラットクリヤーで仕上げました。
上品な感じにリニューアル、施工前と近い雰囲気に仕上がったでしょ

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↑施工前
↓施工後
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色ムラのない、シャープな雰囲気に仕上がりました。
オイルフィニッシュのムラ感のあるワイルドな雰囲気も味があり良いのですが、ウレタン塗装ではどうしても綺麗に仕上がってしまいます。

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トップコートにはサンユーペイント株式会社様のセラウッドという高耐久性の塗料を使用しました。

●セラウッド|製品情報|サンユーペイント株式会社
http://www.sanyu-paint.co.jp/product/sp_cerawood

塗膜硬度が高く、キズが付きにくいのが特徴の2液型ポリウレタン樹脂塗料です。
弊社では、天板などの耐久性が求められる箇所にはセラウッドを使用しています。
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今回もお客様にはご満足を頂けたようで良かったです



最後までお読み頂きましてありがとうございました。
ここまでご覧頂いた方にさらにお知らせがあります。

【塗り直しをご検討のお客様へ】

弊社ではよりご満足して頂ける、気遣いの行き届いた塗り直しをご提供させて頂く為に、日正産業株式会社との業務提携をしております。

見積や家具等の引き取り・施工後の納品などは日正産業株式会社が担当。
塗り直しの実作業はニシザキ工芸が自社木工塗装専門工場で行います。

家具のお引き取りから納品まで。
日正産業株式会社を窓口とする一貫した快適なサービスをご提供いたします。

●インテリアドクター・日正産業株式会社ホームページ
https://nissei-sangyo.co.jp/

ニシザキ工芸塗装部は木工塗装を得意とする職人集団ですが、実務をこなしながらになる営業的な仕事は正直得意ではありませんし、家具運搬等の業務も行っておりません。
それらの点を補い、実作業の面はもとより一貫してより質の高い塗り直しをご提供させて頂く為の業務提携です。

※窓口一本化のため、「家具塗り直しに関するお問い合わせ」は上記の日正産業株式会社にて承っております。
基本的に弊社では対応を行っておりません。


ご理解の上、お問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。


●ニシザキ工芸株式会社塗装部HP
https://tosou.nishizaki.co.jp/

●特注家具・ニシザキ工芸株式会社HP
https://www.nishizaki.co.jp/