当ブログをご覧頂きまして誠にありがとうございます。

先日、職場の人間と、散孔材(さんこうざい)と環孔材(かんこうざい)の違いについての話になりました。
しかしですねぇ・・・これが記憶が曖昧な部分が多くって
ウォールナットってどっちだったっけ
とか
そもそも環孔材や散孔材って、木材のどうゆう事を指してるの
とか
そうゆう訳で、今回のブログは私の復習も兼ねた内容となります
木工塗装を生業としている人間として、木材に関する基礎知識は必須科目です。
木材の性質を熟知することにより、それぞれの材種に合った塗装方法を選択することが出来るようになります。

木には針葉樹と広葉樹があることはご存じかと思います。
その名の通り、葉っぱが針の様なものと平べったいものとで見分けることが出来ますね。
針葉樹はほとんどが常緑樹で、広葉樹は落葉樹と常緑樹の2種類があります。
そう、イチョウの木は間違えられやすいのですが針葉樹だったりします。
針葉樹の成長は早く、まっすぐ伸びる性質があり、広葉樹は長い時間をかけてゆっくりと、丸っこく育ちます。

針葉樹はソフトウッドと言われ、すばやく育つ分、木質が軽くて柔らかくて加工がしやすいのが特徴。
広葉樹はハードウッド(堅木/かたぎ)と言われ、ゆっくり育つ分、木質が緻密で重くて丈夫です。
例外として、柔らかくて軽いのが特徴の桐(キリ)の木も広葉樹のようです。

【家具や住宅に使われる代表的な木材の種類】
針葉樹・・・ひのき、松(パイン)、杉、など。
広葉樹・・・なら(オーク)、けやき、ぶな(ビーチ)、しな、たも、マホガニー、ウォールナット、チーク、さくら(チェリーやバーチ)、メープル、黒檀、ローズウッド、ゼブラウッド、ホワイトアッシュ、などなど。
針葉樹は、シンプルで真っ直ぐな木目。白、黄、赤、茶系の明るい色の柔らかい質感が特徴。
広葉樹は、複雑に変化する美しい木目のものが多い。質感や材の色は多種多様でカラフル。
と、いう感じです。

こちらは木材の断面の顕微鏡写真です。
細胞レベルで見ると、木材とはパイプ(細胞)の束であり、その細胞同士はリグニンという天然の強い接着剤で結合しています。
この様なハニカム構造により、木材は高い強度と軽さと加工のしやすさを兼ね備えた素材になっています。
また、木を構成している木繊維は全て中空の管なので、その体の隅々まで水や樹液を通すことが出来るのです。
写真をよくご覧頂くと分かると思いますが、針葉樹と広葉樹では細胞と組織の成り立ちが少々違います。
どちらもパイプの束のように見えますが、広葉樹には太いパイプが幾つか見られますよね?
この太いパイプが「導管(どうかん)」と呼ばれる、水分や樹液を運ぶための専用の通路です。
針葉樹にはこの「導管(専用の通路)」が無いのです。

針葉樹の組織は単純で、細胞の配列は整然としているのが見て取れます。
大半の樹種は90パーセント以上が「仮導管」という組織で占められています。
仮導管とは、水分を根から樹幹を通して葉っぱへ送る通路のことですが、木そのものを支える役目も担っています。

対して、広葉樹の組織構造は複雑で、細胞の種類が多いだけではなく、細胞ごとの機能も分業・専門化しています。水分の通り道は主に導管が、木を支えるのは主に木部繊維が担っています。
また、養分の貯蔵機能をもつ柔組織と言われる組織も発達しています。
人間の身体に例えるならば・・・
骨と筋肉と血管が一つになっているのが針葉樹。
骨と筋肉と血管がそれぞれ独立して別々の働きをしているのが針葉樹。
と、考えると分かりやすいかもしれません
そういう訳で、複雑な構造をもつ広葉樹は、針葉樹に比べて多様な性質を持っています。

ここでようやく登場するのが「散孔材」と「環孔材」です
シンプルな組織構造の針葉樹に対し、複雑な構造を持つ広葉樹は、樹幹の断面上における導管の分布の仕方で散孔材と環孔材、そして放射孔材(ほうしゃこうざい)の3つに分類されます。
1.散孔材・・・ぶな(ビーチ)、しな、かつら、マホガニー、ウォールナット、さくら(チェリーやバーチ)、メープル、ローズウッド、など。
そう、ウォールナットは散孔材でしたね


散孔材の特長:導管が細く、木目と関係なく多数存在するので、木材表面のアクセントに乏しくおとなしく見える傾向があります。導管が細いがゆえに木材表面のきめが細かく、手触りはスベスベしています。
ちなみに、国産材の約60パーセントが散孔材であり、熱帯産の広葉樹は大部分が散孔材のようです。
2.環孔材・・・なら(オーク)、けやき、たも、チーク、くり、くぬぎ、など。

環孔材の特長:導管が太いので、材の表面の導管の凸凹によるテクスチャー感を楽しめます。
また木目がはっきりと見える傾向があり、木質感が高いです。
3.放射孔材・・・樫(かし)など。
この辺はあまり一般的ではないので説明は省きます。
【木材塗装における注意点】
クリヤー塗装、透明着色塗装、塗りつぶし塗装、艶消し仕上げや鏡面仕上げなど。
木材塗装では、基本となるいくつかの塗装の種類がありますが、塗装を行う品物の材料(樹種など)の特性に合わせた方法で作業をしなければなりません。

特に、木材に染料や顔料を使って着色をする場合には注意が必要です。
なぜなら、材種(環孔材か散孔材かなど)によって色の付き方が違うからです。

刷毛で着色剤を塗って、ウエス(布)で拭き取るのが一般的な木地着色の方法です。
この際、散孔材は色ムラが出やすいというのが木材塗装の業界での常識になっています。
散孔材はきめが細かい肌合いがゆえに、着色剤の付き方が単調になり、塗りムラが目立ちやすいためです。
ちなみにこちらは散孔材であるマホガニーという木材の突板貼りのテーブルの天板です。

色ムラを抑えるため、目標とする仕上がりの色合いより薄め目に木地着色をした上に、塗膜着色(染料を配合したクリヤー塗料を吹き付ける方法)で色を濃くしていきました。
マホガニーは散孔材の中でも比較的色ムラが出にくい材種ですが、“しな” や “ぶな” などの散孔材に木地着色をする時は、場合によっては刷毛を使わずにスプレーで着色をするなど、より慎重に作業を進めます。
そうそう、木地着色と言えば、針葉樹へ作業を行うときはさらに注意が必要となります。

材質が柔らかいので着色剤が浸透しやすく、材の部分(早材と晩材)で塗料や着色剤の浸透する度合の差が大きい特徴から、木目を強調するような仕上げが採用されることもありますが、着色ムラを起こしやすい素材でもあります。
針葉樹は材が柔らかく、単純な組織構成のおかげで肌目がきめ細やかで滑らかな樹種が多く、見た目にも柔らかさが感じられます。
せっかくのソフト感が失われないように薄膜、つや消し仕上げが採用されることが多いです。
針葉樹は一般に明るく淡色の樹種が多いことから、クリヤー仕上げ(着色をしない)、もしくはごく薄目の着色を行うことが多く、濃色に着色することはあまりありません。
・
・
・
以上、“散孔材と環孔材の違いについて”でした。
思いつくまま調べて、書き連ねていったので、少々まとまり感が薄いとは思いますが
私的には今回を機に勉強になりましたし、出し切った感があるので満足です(笑)
(今さら聞けない)木工塗装の基礎知識シリーズ
これは意外と面白いかもしれない

これからも時折、思い出したように書いていきたいと思います。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
次回もお楽しみに
●ニシザキ工芸株式会社塗装部HP
https://tosou.nishizaki.co.jp/
●特注家具・ニシザキ工芸株式会社HP
https://www.nishizaki.co.jp/

先日、職場の人間と、散孔材(さんこうざい)と環孔材(かんこうざい)の違いについての話になりました。
しかしですねぇ・・・これが記憶が曖昧な部分が多くって

ウォールナットってどっちだったっけ


そもそも環孔材や散孔材って、木材のどうゆう事を指してるの


そうゆう訳で、今回のブログは私の復習も兼ねた内容となります

木工塗装を生業としている人間として、木材に関する基礎知識は必須科目です。
木材の性質を熟知することにより、それぞれの材種に合った塗装方法を選択することが出来るようになります。

木には針葉樹と広葉樹があることはご存じかと思います。
その名の通り、葉っぱが針の様なものと平べったいものとで見分けることが出来ますね。
針葉樹はほとんどが常緑樹で、広葉樹は落葉樹と常緑樹の2種類があります。
そう、イチョウの木は間違えられやすいのですが針葉樹だったりします。
針葉樹の成長は早く、まっすぐ伸びる性質があり、広葉樹は長い時間をかけてゆっくりと、丸っこく育ちます。

針葉樹はソフトウッドと言われ、すばやく育つ分、木質が軽くて柔らかくて加工がしやすいのが特徴。
広葉樹はハードウッド(堅木/かたぎ)と言われ、ゆっくり育つ分、木質が緻密で重くて丈夫です。
例外として、柔らかくて軽いのが特徴の桐(キリ)の木も広葉樹のようです。

【家具や住宅に使われる代表的な木材の種類】
針葉樹・・・ひのき、松(パイン)、杉、など。
広葉樹・・・なら(オーク)、けやき、ぶな(ビーチ)、しな、たも、マホガニー、ウォールナット、チーク、さくら(チェリーやバーチ)、メープル、黒檀、ローズウッド、ゼブラウッド、ホワイトアッシュ、などなど。
針葉樹は、シンプルで真っ直ぐな木目。白、黄、赤、茶系の明るい色の柔らかい質感が特徴。
広葉樹は、複雑に変化する美しい木目のものが多い。質感や材の色は多種多様でカラフル。
と、いう感じです。

こちらは木材の断面の顕微鏡写真です。
細胞レベルで見ると、木材とはパイプ(細胞)の束であり、その細胞同士はリグニンという天然の強い接着剤で結合しています。
この様なハニカム構造により、木材は高い強度と軽さと加工のしやすさを兼ね備えた素材になっています。
また、木を構成している木繊維は全て中空の管なので、その体の隅々まで水や樹液を通すことが出来るのです。
写真をよくご覧頂くと分かると思いますが、針葉樹と広葉樹では細胞と組織の成り立ちが少々違います。
どちらもパイプの束のように見えますが、広葉樹には太いパイプが幾つか見られますよね?
この太いパイプが「導管(どうかん)」と呼ばれる、水分や樹液を運ぶための専用の通路です。
針葉樹にはこの「導管(専用の通路)」が無いのです。

針葉樹の組織は単純で、細胞の配列は整然としているのが見て取れます。
大半の樹種は90パーセント以上が「仮導管」という組織で占められています。
仮導管とは、水分を根から樹幹を通して葉っぱへ送る通路のことですが、木そのものを支える役目も担っています。

対して、広葉樹の組織構造は複雑で、細胞の種類が多いだけではなく、細胞ごとの機能も分業・専門化しています。水分の通り道は主に導管が、木を支えるのは主に木部繊維が担っています。
また、養分の貯蔵機能をもつ柔組織と言われる組織も発達しています。
人間の身体に例えるならば・・・
骨と筋肉と血管が一つになっているのが針葉樹。
骨と筋肉と血管がそれぞれ独立して別々の働きをしているのが針葉樹。
と、考えると分かりやすいかもしれません

そういう訳で、複雑な構造をもつ広葉樹は、針葉樹に比べて多様な性質を持っています。

ここでようやく登場するのが「散孔材」と「環孔材」です

シンプルな組織構造の針葉樹に対し、複雑な構造を持つ広葉樹は、樹幹の断面上における導管の分布の仕方で散孔材と環孔材、そして放射孔材(ほうしゃこうざい)の3つに分類されます。
- 散孔材・・・導管の配列に特徴がなく、均一に分布している。
- 環孔材・・・導管が年輪に沿ってリング状に並ぶ。
- 放射孔材・・・導管が中心から外側へ放射状に並ぶ。
1.散孔材・・・ぶな(ビーチ)、しな、かつら、マホガニー、ウォールナット、さくら(チェリーやバーチ)、メープル、ローズウッド、など。
そう、ウォールナットは散孔材でしたね



散孔材の特長:導管が細く、木目と関係なく多数存在するので、木材表面のアクセントに乏しくおとなしく見える傾向があります。導管が細いがゆえに木材表面のきめが細かく、手触りはスベスベしています。
ちなみに、国産材の約60パーセントが散孔材であり、熱帯産の広葉樹は大部分が散孔材のようです。
2.環孔材・・・なら(オーク)、けやき、たも、チーク、くり、くぬぎ、など。

環孔材の特長:導管が太いので、材の表面の導管の凸凹によるテクスチャー感を楽しめます。
また木目がはっきりと見える傾向があり、木質感が高いです。
3.放射孔材・・・樫(かし)など。
この辺はあまり一般的ではないので説明は省きます。
【木材塗装における注意点】
クリヤー塗装、透明着色塗装、塗りつぶし塗装、艶消し仕上げや鏡面仕上げなど。
木材塗装では、基本となるいくつかの塗装の種類がありますが、塗装を行う品物の材料(樹種など)の特性に合わせた方法で作業をしなければなりません。

特に、木材に染料や顔料を使って着色をする場合には注意が必要です。
なぜなら、材種(環孔材か散孔材かなど)によって色の付き方が違うからです。

刷毛で着色剤を塗って、ウエス(布)で拭き取るのが一般的な木地着色の方法です。
この際、散孔材は色ムラが出やすいというのが木材塗装の業界での常識になっています。
散孔材はきめが細かい肌合いがゆえに、着色剤の付き方が単調になり、塗りムラが目立ちやすいためです。
ちなみにこちらは散孔材であるマホガニーという木材の突板貼りのテーブルの天板です。

色ムラを抑えるため、目標とする仕上がりの色合いより薄め目に木地着色をした上に、塗膜着色(染料を配合したクリヤー塗料を吹き付ける方法)で色を濃くしていきました。
マホガニーは散孔材の中でも比較的色ムラが出にくい材種ですが、“しな” や “ぶな” などの散孔材に木地着色をする時は、場合によっては刷毛を使わずにスプレーで着色をするなど、より慎重に作業を進めます。
そうそう、木地着色と言えば、針葉樹へ作業を行うときはさらに注意が必要となります。

材質が柔らかいので着色剤が浸透しやすく、材の部分(早材と晩材)で塗料や着色剤の浸透する度合の差が大きい特徴から、木目を強調するような仕上げが採用されることもありますが、着色ムラを起こしやすい素材でもあります。
針葉樹は材が柔らかく、単純な組織構成のおかげで肌目がきめ細やかで滑らかな樹種が多く、見た目にも柔らかさが感じられます。
せっかくのソフト感が失われないように薄膜、つや消し仕上げが採用されることが多いです。
針葉樹は一般に明るく淡色の樹種が多いことから、クリヤー仕上げ(着色をしない)、もしくはごく薄目の着色を行うことが多く、濃色に着色することはあまりありません。
・
・
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以上、“散孔材と環孔材の違いについて”でした。
思いつくまま調べて、書き連ねていったので、少々まとまり感が薄いとは思いますが

私的には今回を機に勉強になりましたし、出し切った感があるので満足です(笑)
(今さら聞けない)木工塗装の基礎知識シリーズ

これは意外と面白いかもしれない


これからも時折、思い出したように書いていきたいと思います。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。
次回もお楽しみに

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