当ブログをご覧頂きまして誠にありがとうございます。
先日、6月20日(金)に色彩について学ぶ社内セミナーを行いました。
その様子をレポートしたいと思います。

場所は、職場から徒歩10分くらいの所にある「森下文化センター」でした。
高橋(たかばし)のらくろード沿いにある公共施設で、展示や各種イベントを楽しめたり、貸出施設を利用することが出来ます。

今回の社内セミナーはこちらの会議室を借りて行いました。
私達塗装部のスタッフ計9名が参加。
当日は仕事を少し早めに上がり集合し、16時から18時の2時間、色彩について学びました。

講師としてお招きしたのは、矢島浩之先生です。
当ブログでは度々登場する矢島先生ですが、弊社で主催する家具塗装セミナーでも講師を務めて頂いています。
冗談を交えた授業は面白く、楽しく学ぶことが出来ます。
矢島先生は某有名大学の理工学部を卒業後、ユニオンペイント株式会社へ就職。
長年エンジニアとして経験を積んだのち、家業である塗料店(有限会社カネヒロさん)を継承されました。
弊社は塗料購買の際もお世話になっており、その専門知識を活かした的確なアドバイスに、私達はいつも助けられております。
現在は経営の傍ら、木工塗装に関する技術や知識を伝える講師としてもご活躍されています。

「色を使いこなすための基礎知識 ~塗装技術者のための色彩~」
私達の為に、専用のテキストを用意してくれました

先生は「職人には大きく分けて2通りある」と言います。
1つは、その道の技だけを磨いてゆく「技能者」。
もう1つは、同時にそれに付随する知識も理解し、理論的に人に教えられる「技術者」だそうだ。
今回のセミナーは、「出来れば君たちには“技術者”になってほしい」という言葉のエールから始まりました。
また、「色彩はセンス(だけ)ではない」と言い切ります。
なんか良いなと感じる色合いや配色、柔らかさや元気さと言った感性的な表現に対しても「理論を知ることでおおよその色を導き出すことができる」そうだ。

まずは、「色はなぜ見える?」や「光とは?」など、色彩学の基礎知識を学び、徐々に実務(塗装作業)に即した内容に迫っていきました。
色彩を理解するには、実は多くの分野の知識が必要だったりします。
「光など(物理学)」や「色材 染料・顔料など(化学)」をはじめ、「感覚器官、脳、神経(生理学)」や「知覚・認知・感情(心理学)」、文化や歴史、デザインやアートなどなど。
今回のセミナーで、私個人的に印象的だったことをざっくりとご紹介しましょう。

塗装に関わる者にとっては比較的ポピュラーな、マンセル表色系について。
感覚的で曖昧な色を記号で伝える「色の物差し」です。
少々専門的になってしまいますが・・・

普段私達が良く使う色見本帳である「日塗工(日本塗料工業会)見本帳」の色番はマンセル表色系を基にしているそうだ。
例えば「P05ー40X」という日塗工の色があるとすると、「P」は発行年を表し、「05」は色相(色相環に番号が振ってある)、「40」は明度、「X」は彩度を表している。
色相環の番号や明度の度合い、彩度のアルファベットをある程度覚えれば、色番から大体の色合いを想像出来そうだ。

マンセルに関しては、この様なワークシートをご用意頂きました。

シート下部の色チップをバラバラに切り離してきます。

そして、色の3属性(色相、明度、彩度)を常に意識しながら自分のセンスを信じて、正しくチップを並べていきます。
これは案外難しく、訓練が必要かもしれませんね。
あとは・・・
とある色を並べて見た時、その色同士が影響しあって、それぞれ単体で見た色合いとは違って見えること(目の錯覚)や、照明光の違いで色の見え方が変化すること(条件等色)について改めて伺って、とても勉強になりました。

画像引用:コニカミノルタ
塗装では、調色は重要な作業のひとつ。
「とある色」と同様になるように、塗料を調合して色を出す作業です。
「とある色」と、「調合した色」とで、使用する塗料(染料や顔料)の化学的組成の違いがあると、色を見る光源によって見え方が変わってしまいます。
これはしばしば作業者を悩ませる現象だったりします。

画像引用:コニカミノルタ
つまり、使用する原色が違うと条件等色(メタメリズム)が起こります。
これを少しでも防ぐためには、調色時に使った原色をメモしておき、次に同じ色を調色する時は、そのレシピを参考にすることです。
矢島先生が条件等色を初心者に話すとしたら、等色(化学組成が同じ)は「クローン」で、条件等色は「他人の空似」だそうです。
等色は「マナカナ」や「タッチ」(一卵性双生児で遺伝子が同じ)で、条件等色は「松田聖子」と「まねだ聖子」(よく見ると別物)と言うわけです(笑)

しかし、現物色見本(部材の切れ端やクロスなど)に合わせて調色する場合などは、全く同じ塗料で調色することは難しいし、物理的に無理な場合もありますから。
また、塗装品が取り付けられる場所に自然光が入るとしたら、昼夜で色が違って見える可能性もあります。
それでも、なるべく色が近づくような工夫(いくつかの光源下で色を見る、なるべく少ない色数で調色するようにするなど)をすることで、近似色にすることは出来ると思います。
・・・そんなこんなで、あっという間の2時間でした。
矢島先生は色彩検定という資格を取得されているそうで、私達にもおすすめしておりました。
色彩検定やカラーコーディネーターを取得することで、実作業に良い影響が出るのは間違いないと思いますし、私も取得を検討しております。
何はともあれ、矢島先生、この度はありがとうございました。
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
・
・
それでは今回はこの辺で。
最後までご覧頂きましてありがとうございました。
次回もお楽しみに
●ニシザキ工芸株式会社塗装部HP
https://tosou.nishizaki.co.jp/
●特注家具・ニシザキ工芸株式会社HP
https://www.nishizaki.co.jp/
先日、6月20日(金)に色彩について学ぶ社内セミナーを行いました。
その様子をレポートしたいと思います。

場所は、職場から徒歩10分くらいの所にある「森下文化センター」でした。
高橋(たかばし)のらくろード沿いにある公共施設で、展示や各種イベントを楽しめたり、貸出施設を利用することが出来ます。

今回の社内セミナーはこちらの会議室を借りて行いました。
私達塗装部のスタッフ計9名が参加。
当日は仕事を少し早めに上がり集合し、16時から18時の2時間、色彩について学びました。

講師としてお招きしたのは、矢島浩之先生です。
当ブログでは度々登場する矢島先生ですが、弊社で主催する家具塗装セミナーでも講師を務めて頂いています。
冗談を交えた授業は面白く、楽しく学ぶことが出来ます。
矢島先生は某有名大学の理工学部を卒業後、ユニオンペイント株式会社へ就職。
長年エンジニアとして経験を積んだのち、家業である塗料店(有限会社カネヒロさん)を継承されました。
弊社は塗料購買の際もお世話になっており、その専門知識を活かした的確なアドバイスに、私達はいつも助けられております。
現在は経営の傍ら、木工塗装に関する技術や知識を伝える講師としてもご活躍されています。

「色を使いこなすための基礎知識 ~塗装技術者のための色彩~」
私達の為に、専用のテキストを用意してくれました


先生は「職人には大きく分けて2通りある」と言います。
1つは、その道の技だけを磨いてゆく「技能者」。
もう1つは、同時にそれに付随する知識も理解し、理論的に人に教えられる「技術者」だそうだ。
今回のセミナーは、「出来れば君たちには“技術者”になってほしい」という言葉のエールから始まりました。
また、「色彩はセンス(だけ)ではない」と言い切ります。
なんか良いなと感じる色合いや配色、柔らかさや元気さと言った感性的な表現に対しても「理論を知ることでおおよその色を導き出すことができる」そうだ。

まずは、「色はなぜ見える?」や「光とは?」など、色彩学の基礎知識を学び、徐々に実務(塗装作業)に即した内容に迫っていきました。
色彩を理解するには、実は多くの分野の知識が必要だったりします。
「光など(物理学)」や「色材 染料・顔料など(化学)」をはじめ、「感覚器官、脳、神経(生理学)」や「知覚・認知・感情(心理学)」、文化や歴史、デザインやアートなどなど。
今回のセミナーで、私個人的に印象的だったことをざっくりとご紹介しましょう。

塗装に関わる者にとっては比較的ポピュラーな、マンセル表色系について。
感覚的で曖昧な色を記号で伝える「色の物差し」です。
少々専門的になってしまいますが・・・

普段私達が良く使う色見本帳である「日塗工(日本塗料工業会)見本帳」の色番はマンセル表色系を基にしているそうだ。
例えば「P05ー40X」という日塗工の色があるとすると、「P」は発行年を表し、「05」は色相(色相環に番号が振ってある)、「40」は明度、「X」は彩度を表している。
色相環の番号や明度の度合い、彩度のアルファベットをある程度覚えれば、色番から大体の色合いを想像出来そうだ。

マンセルに関しては、この様なワークシートをご用意頂きました。

シート下部の色チップをバラバラに切り離してきます。

そして、色の3属性(色相、明度、彩度)を常に意識しながら自分のセンスを信じて、正しくチップを並べていきます。
これは案外難しく、訓練が必要かもしれませんね。
あとは・・・
とある色を並べて見た時、その色同士が影響しあって、それぞれ単体で見た色合いとは違って見えること(目の錯覚)や、照明光の違いで色の見え方が変化すること(条件等色)について改めて伺って、とても勉強になりました。

画像引用:コニカミノルタ
塗装では、調色は重要な作業のひとつ。
「とある色」と同様になるように、塗料を調合して色を出す作業です。
「とある色」と、「調合した色」とで、使用する塗料(染料や顔料)の化学的組成の違いがあると、色を見る光源によって見え方が変わってしまいます。
これはしばしば作業者を悩ませる現象だったりします。

画像引用:コニカミノルタ
つまり、使用する原色が違うと条件等色(メタメリズム)が起こります。
これを少しでも防ぐためには、調色時に使った原色をメモしておき、次に同じ色を調色する時は、そのレシピを参考にすることです。
矢島先生が条件等色を初心者に話すとしたら、等色(化学組成が同じ)は「クローン」で、条件等色は「他人の空似」だそうです。
等色は「マナカナ」や「タッチ」(一卵性双生児で遺伝子が同じ)で、条件等色は「松田聖子」と「まねだ聖子」(よく見ると別物)と言うわけです(笑)

しかし、現物色見本(部材の切れ端やクロスなど)に合わせて調色する場合などは、全く同じ塗料で調色することは難しいし、物理的に無理な場合もありますから。
また、塗装品が取り付けられる場所に自然光が入るとしたら、昼夜で色が違って見える可能性もあります。
それでも、なるべく色が近づくような工夫(いくつかの光源下で色を見る、なるべく少ない色数で調色するようにするなど)をすることで、近似色にすることは出来ると思います。
・・・そんなこんなで、あっという間の2時間でした。
矢島先生は色彩検定という資格を取得されているそうで、私達にもおすすめしておりました。
色彩検定やカラーコーディネーターを取得することで、実作業に良い影響が出るのは間違いないと思いますし、私も取得を検討しております。
何はともあれ、矢島先生、この度はありがとうございました。
今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
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それでは今回はこの辺で。
最後までご覧頂きましてありがとうございました。
次回もお楽しみに

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