今回のブログは、長年のご使用によって傷・輪染み・塗膜劣化が生じていた、象嵌入りクラシックテーブル天板が美しく蘇る様子をご紹介します。
既存の塗膜を丸ごと剥離し、木地から再塗装することで、“本来の表情”を取り戻した塗り直しの記録です。

長年使われてきた象嵌細工のクラシックテーブル。
輪染みやくすみが目立つ状態ではありましたが、素材の良さは十分に残っていました。
お客様の「良い家具だからこそ直して使いたい」という思いに応えたい。
そんな気持ちで、今回は天板を素地から丁寧に再生しました。

最初に少しだけ“象嵌(ぞうがん)”の話をしておきます。
象嵌というのは、異なる木材や素材を組み合わせて模様を作り出す、古くからある装飾技法です。
単なる印刷模様ではなく、木そのものを切り出して組み合わせるため、素材の色味や木目の違いが生き、同じ模様でも一点ごとに表情が変わります。
いわば「木の絵画」です。
大量生産・大量消費の家具が主流の今、買い換えという選択肢が当たり前になりました。
でも今回のように、良い素材と確かな技術で作られた家具は、直せばまた何十年と使えます。
ただし、良い家具を直すにはどうしても手間も時間もお金も掛かります。
塗膜を丁寧に剥離し、象嵌の繋ぎ目などにも気を付けながら研磨し、素地調整から仕上げまで、工程をひとつひとつ慎重に積み重ねる必要があります。
それでもなお「直して使いたい」と思っていただける家具は、本当に良い家具だと思いますし、職人としても腕を振るう喜びがあります。
さて、前置きはほどほどにして。
作業を進めていきましょう。
先ずは痛んだ塗装を剥がしていきます。
塗装を剥がすために、塗膜を軟化させ浮かせる“塗膜剥離剤”を天板全面に塗布していきます。
この際、薬剤が流れ出さないように、テーブルの縁に土手を作っておきます。
そして、ラップで密封して一定時間放置。
時間をかけ、ようやく塗膜が柔らかくなり、スクレーパーで剥がしていくと、徐々に素地が現れてきました。縁の曲面や装飾部分は特に慎重に作業を進め、象嵌部分を傷つけないよう注意しました。
剥離剤で柔らかくなった塗膜を完全に除去したの図。
溶剤でしっかりと拭き取りを行って、表面に薬剤が残らないようにします。
そして、素地調整(木地にペーパー掛けをする)を行って木地を整えていきます。
この際も縁の曲面部分などは、削り過ぎて形が変わらないように慎重に。
天面はエアサンダーという機械を使ってしっかりとペーパーを当てます。
とは言え、当てすぎ厳禁です。様子を見ながら慎重に作業をします。
素地調整が終了したの図。
これで無塗装の状態に戻りましたので、一から再塗装を行っていきます。
「2液型ポリウレタン樹脂塗料」を使って再塗装を行っていきました。
1度に厚く塗膜を付けることは出来ませんので、幾重にも塗り重ねていきます。
元の塗装が厚膜だったので、それと合わせるために、乾燥と研磨を挟みながら合計9回ほど下地の塗装を行っていきました。
さて、いよいよ仕上げの段階に入ります。
こちらは“カラーイング”という工程の様子です。
調色した染料を少しずつ均一に吹き付けて、表面に色を付けていきます。
↑カラーイング前
↓カラーイング後
かなり雰囲気が変わりました。
色の層を重ねることにより、色合いに深みが出てきます。
そして・・・仕上がりはこちらです。
↑施工前
↓施工後
よしっ!綺麗になったでしょ?![]()
![]()
トップコートにはサンユーペイントさんのセラウッドを塗装しました。
●セラウッド|製品情報|サンユーペイント株式会社
http://www.sanyu-paint.co.jp/product/sp_cerawood
塗膜硬度が高く、キズが付きにくいのが特徴の2液型ポリウレタン樹脂塗料です。
弊社では、天板などの耐久性が求められる箇所にはセラウッドを使用しています。
↑施工前
↓施工後
輪染みが消え、表面の擦り傷などが無くなり、木目がすっきりと見えるようになりました。
こちらの天板は伸長式で、左右に開いて真ん中にエクステンション天板が入るのですが、今回はその天板はお預かりしませんでした。
おそらく普段はこの状態でお使いなのでしょう。
お客様には大変喜んでいただき、「昔の雰囲気をそのままに、まるで新品のようだ」とのお言葉をいただきました。
このように、古い家具でも「思い出」や「素材の価値」があるものなら、丁寧に塗り直すことで十分に蘇らせることが可能です。
家具は単なるモノではなく、使う人の歴史や思い出が刻まれるもの。
今回のテーブルのように、長年使われ、傷みが出てきても、「捨てる」のではなく、「再生する」という選択をすることで、その家具はまた新しい役割を持ち始めます。
新品を買い換えるよりも、“気に入っている家具を丁寧に直して使い続ける”という選択をされる方は年々増えているように思います。
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最後までお読み頂きましてありがとうございました。
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見積や家具等の引き取り・施工後の納品などは日正産業株式会社が担当。
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基本的に弊社では対応を行っておりません。
ご理解の上、お問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。
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●特注家具・ニシザキ工芸株式会社HP
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