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先日、目黒の東京都庭園美術館で開催中の展覧会「永遠なる瞬間 ヴァンクリフ&アーペル ハイジュエリーが語るアール・デコ」を観に行ってきました。
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写真引用:ESTIME
ヴァンクリフ&アーペルとは・・・
ティファニー、カルティエ、ブルガリ、ハリーウィストンと並ぶ世界5大ジュエラーのひとつと称され、芸術の都パリを代表するジュエリーブランドです。
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●永遠なる瞬間 ヴァンクリフ&アーペル ― ハイジュエリーが語るアール・デコ
Timeless Art Deco with Van Cleef & Arpels High Jewelry
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/250927-260118_timeless-art-deco/
会期:2025年9月27日(土)~2026年1月18日(日)
時間:10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
会場:東京都庭園美術館(本館+新館)
※本展は日時指定予約制です。ご来館前にチケットをご購入ください。

結論から言ってしまうと、「これはぜひ多くの“ものづくりに携わる人”に観て欲しい展覧会」です。
宝飾という分野でありながら、そこに込められた思想や技術、そして時代背景は、私たち家具製作・塗装仕上げの仕事とも深く共鳴するものがありました。

東京都庭園美術館 ― アール・デコ建築の傑作としての価値
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今回の舞台となっている東京都庭園美術館の本館は、別名「旧朝香宮邸」として1933年に建てられた邸宅を改装したものです。
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この建物自体がアール・デコ建築の傑作として重要文化財に指定されており、外観・内装・細部の装飾に至るまで、当時世界的に流行したデザイン思想が色濃く反映されています。
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この邸宅を設計したのは、ヨーロッパ建築の影響を受けたデザイン感度の高い人物たちで、当時の最先端美術潮流をそのまま閉じ込めた空間は、今も訪れる人に時代を越えた感動を与えています。
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建築の細部が「総合芸術」として完成していることは、展示されるジュエリーと非常に相性が良く、ヴァンクリフ&アーペルのアール・デコ作品を観るための理想的な舞台となっています。
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実際に足を踏み入れると、壁面の装飾、大理石の質感、照明の陰影までもが、当時のアール・デコの精神を伝えてくれます。展示空間としての「美しさ」と、本展のジュエリーが放つ「輝き」が呼応することで、ただの展示鑑賞を超えた“時代との対話”が生まれていました。

なお、会場内は撮影禁止でしたので、残念ながら当ブログでお見せすることはできませんが。
だからこそ、作品一点一点をじっくりと目に焼き付ける体験になりました。
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その代わりとして(そしてこれは嬉しいポイントですが)、ミュージアムショップで販売されていた本展覧会の公式図録については、美術館スタッフさんから当ブログでの作品写真掲載の許可を頂きました。
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この図録、内容の充実度に対して価格はなんと3850円(税込)。
正直な感想として、「このクウォリティーでこの価格は安い・・・」と感じました。
掲載写真の美しさ、解説の丁寧さ、資料性の高さを考えると、アール・デコや工芸、デザインに興味のある方にとって長く手元に置いておける一冊かと思います。

ヴァンクリフ&アーペル ― 美への探求が生んだ名門メゾン
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ヴァンクリフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)は、19世紀末の1895年にアルフレッド・ヴァン クリーフと、彼の妻エステル・アーペルの結婚をきっかけに始まりました。IMG_4652
1906年には、パリ屈指の高級地区であるヴァンドーム広場22番地に最初のブティックを構え、以来世界中のジュエリー界を牽引する存在として歩みを進めています。IMG_4655
創業初期から素材への情熱と独創的な技巧に支えられた同メゾンは、1925年の現代装飾美術・産業美術国際博覧会(通称:アール・デコ博覧会)」で宝飾部門のグランプリを受賞。
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その代表作のひとつが、ダイヤモンドやルビーで繊細に表現された【絡み合う花々、赤と白のローズブレスレット(1924)】でした。
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このアール・デコ博覧会は、第一次世界大戦後の新しい時代の息吹を象徴する文化イベントであり、装飾美術・建築・ジュエリー・デザインが一堂に会した潮流の始まりでもありました。
ヴァンクリフ&アーペルがこのムーブメントの中心で評価されたことは、メゾンのクリエイティビティーと世界的影響力を語る裏付けとも言えます。

ヴァンクリフ&アーペルを特徴づける独創的な技法のひとつと言えば、やはり「ミステリーセッティング」です。
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宝石をジュエリーに使用するには、台座に爪で固定するため、宝石のおもて側に爪の一部が出てくるデザインが一般的ですが、こちらは一見すると宝石が金属に留められている気配がまったくありません。
爪も枠も見えず、宝石だけが面となって連なり、まるで宝石そのものが自立しているかのように輝いています。
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ミステリーセッティングでは、ルビーやサファイヤなどの石の裏側に極めて細い溝を彫り、そこに金属製のレールを滑り込ませることで石同士を固定します。
つまり、おもて側からは一切金属が見えない構造。
この技法は1933年に特許を取得しており、作品が完成までには膨大な時間を要するそうです。
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石のサイズ、厚み、角度など、ほんの僅かでも狂えば成立しない、極限まで精度を求められる仕事です。

一瞬の輝きを、永遠の美として成立させるための見えない仕事の結晶。
展覧会場で実際に作品を前にしたとき、その完璧な静けさと緊張感に、ものづくりに携わる者として深い敬意を抱かずにはいられませんでした。
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あと、魅了させられたのが、小さな文字盤の精巧な腕時計です。
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当時の上流階級では!?人前で時間を見ることがマナー違反だったため、「シークレットウォッチ」呼ばれる、時刻を目立たないように確認できる時計が重宝されたそうです。
ジュエリーだけでなく、時計の製作技術も超一流だったことに感動しました。

本展覧会では、アール・デコ博覧会でのグランプリ受賞作品をはじめ、1910~1930年代の歴史的ジュエリー・時計・装飾品を中心に、近代の作品などおよそ250点や、設計図・資料などのアーカイブ約60点が並び、アール・デコ期の美を多角的に体感できました。

アール・デコと「永遠なる瞬間」
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アール・デコとは、1910年代から30年代にかけて、アール・ヌーヴォーのカウンターカルチャーとして世界を席巻した芸術潮流で、直線や幾何学的なフォルム、機能美と装飾美の両立などが特徴です。
第一次世界大戦後の希望と前衛性を象徴する様式は、建築やデザインのみならず、ファッション・工芸・ジュエリーにも強い影響を与えました。
ヴァンクリフ&アーペルの作品群を観ると、素材選び・色彩感・構造の美しさにその影響が色濃く表れていることが感じられます。
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この展覧会「永遠なる瞬間」は、まさにアール・デコ誕生から100年という節目を祝う内容であり、時代の瞬間を永遠の作品に昇華したヴァンクリフ&アーペルの哲学を、建築と共に味わえる希有な機会だと思います。

何はともあれ、やはり実際に肉眼で観て頂きたい。
会期は来年の1月18日(日)までで、残り少なくなってきましたが・・・
ご興味のある方は是非会場に足を運んで頂けたらと思います。
年末年始の忙しい時期だとは思いますが、きっと癒やしのひとときとなるでしょう。


それでは今回はこの辺で。
最後までお読み頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに


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