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世界の家具づくりに触れる ミラノサローネ2026視察レポート
第2部・会場編 Fiera Milano Rhoで見た世界のデザイン

~前回、塗装職人が巡る、ミラノサローネ2026視察レポート1 出発編からの続き~
前回の第1部では、羽田空港を出発し、ヘルシンキ経由でイタリア・ミラノへ到着した初日の様子をレポートしました。
今回の第2部では、いよいよミラノサローネ本会場、Fiera Milano Rho(フィエラ・ミラノ・ロー)での視察の様子をお届けします。
私たちが本会場を訪れたのは、4月23日と24日の2日間。
ミラノサローネ2026の会期は4月21日から26日までで、2026年は167カ国から316,342人来場したとのこと。数字だけを見ても、世界中の家具・インテリア関係者が集まる大きなイベントであることが分かります。
ホテルの朝食から始まる、ミラノの1日
滞在中は、毎朝ホテルでのブッフェ形式の朝食をいただくことができました。

朝食会場には、本格的なパンやチーズ、生ハム、卵料理、フルーツ、エスプレッソコーヒーなど、さまざまな料理が並んでいました。

日本のホテル朝食とはまた違い、パンやチーズ、生ハムの種類が豊富で、朝から「ヨーロッパに来ているんだな」と感じさせてくれる内容です。

会場の雰囲気も落ち着いていて、どこか優雅。
これから世界最大級の家具見本市を見に行くという高揚感もあり、朝食を食べながらも気持ちはすでに会場に向かっていました。
チャーターバスで Fiera Milano Rho へ

会場へは、ホテルからチャーターしたバスで移動しました。
送迎は行きのみで、ホテル前にバスが到着し、朝8時半に出発です。
会場までは約1時間くらい。

バスに乗り込み、いよいよ本会場へ。
車窓から見えるミラノ郊外の風景は、日本の街並みとはやはりどこか違います。建物の色、道路の広さ、看板の雰囲気、走っている車。何気ない景色の一つひとつが新鮮に感じられました。
「どれほど大きな展示会なのだろう」
「世界のトップブランドは、どんな空間を見せてくれるのだろう」
そんな期待と、少しの緊張が入り混じった、なんとも言えないドキドキ感がありました。
Fiera Milano Rho とはどんな会場か

今回の会場となった Fiera Milano Rho(フィエラ・ミラノ・ロー)は、ミラノ郊外のロー地区にある大規模展示会場です。

Fiera Milano 自体の歴史は古く、1920年に最初のミラノ見本市が開かれたことに始まります。
現在のRho会場は、建築家マッシミリアーノ・スクサスによって設計され、2005年秋に開業した近代的な展示施設です。

会場は20の大きなパビリオンが、約1㎞にわたる歩行者通路の両側に並ぶ構成になっており、そのスケールはまさに巨大。

実際に会場に到着すると、まずその大きさに圧倒されます。
ただ展示ブースが並んでいるだけでなく、会場そのものがひとつの都市のようです。広い通路、続いていくパビリオン、各国から集まった来場者。
「これは1日で見きれる規模ではない」と入場してすぐに感じました。
2026年は“キッチンの年”
ミラノサローネには、毎年開催される家具の展示に加え、年によって大きな専門見本市が組み合わされるのも特徴です。
2026年は、偶数年に開催されるキッチン見本市 EuroCucina(エウロクッチーナ)の年でした。
EuroCucinaは、キッチン空間に特化した隔年開催の国際見本市で、FTK(Technology For the Kitchen)とともに開催されました。
一方、奇数年には照明の見本市 Euroluce(エウロルーチェ)が開催されます。
Euroluceは照明デザイン、技術、革新、サステナビリティに関する隔年展示です。
また、ミラノサローネは毎年同じように見えて、実は年ごとにテーマの違いがあります。
2026年は「A Matter of Salone」をメインテーマに掲げられており、デザインの起源である「素材(マテリアル)」そのものにフォーカスし、素材が持つ意味や人間の手による加工プロセスを改めて意識した展示になっていたようです。
家具塗装の仕事をしている私としても、キッチンはとても興味深い分野ですし、扉の仕上げ、天板の素材、木部と金属、石材、セラミック、ガラスとの組み合わせ。
家具単体ではなく、空間全体の中で素材や仕上げがどう見えてくるのかを考えるうえで、とても刺激の多い展示でした。
業界関係者で賑わう会場
ミラノサローネ2026は、4月21日から26日の6日間の開催でした。
公式情報では、トレードビジター(業界関係者)は会期中の全日程で入場が可能でしたが、一般公開日は週末にあたる25日、26日のみに設定されていました。

私たちが会場入りした23日、24日は、まだ一般公開前ということもあり、身動きが取れないほどの大混雑ではありませんでした。
とは言え、会場は多くの業界関係者であふれていて、人気ブランドのブースには長蛇の列ができていました。

世界中から集まった人たちが、それぞれ真剣に展示を見て、写真を撮り、商談をし、会場を歩いている。その空気感だけでも、ここが単なる展示会ではなく、世界の家具・インテリア業界が動く場所なのだと感じました。

会場では、別便でミラノサローネ視察に来ていた弊社営業部のメンバーとも合流し、一緒に行動することができました。
同じ展示を見ても、塗装職人として見る視点と、営業としてお客様に提案する視点では、感じ方が少し違います。それぞれの目線で感想を交わしながら歩けたことも、とても貴重な時間でした。
4月23日・会場視察1日目
BERLONI ― 暮らしの中心としてのキッチン
まず印象に残ったのが、イタリアのキッチンブランド BERLONI(ベルローニ)です。

BERLONIは60年以上にわたり、キッチンやリビングシステムを手掛けてきたブランドで、デザイン性、品質、機能性を組み合わせたキッチンを展開しています。

会場で見たキッチンは、単なる調理設備というより、リビング空間と一体になった家具のようでした。
大きな面材、整ったライン、収納の見せ方、素材の切り替え。

扉の仕上げひとつを見ても、艶の出し方、マット感、エッジの納まりに気を配っていることが伝わってきます。

キッチンは水や油、熱、手垢など、家具以上に過酷な環境で使われるものです。
それでいて、今のキッチンには家具のような美しさが求められる。
その両立の難しさと面白さを感じました。
Riva 1920 ― 無垢材の迫力と存在感
木工に関わる人間として、強く惹かれたのが Riva 1920(リーヴァ1920)です。

Riva 1920 は、1920年にイタリア・ブリアンツァ地方のカントゥで始まった、無垢材家具を得意とするブランドです。小さな家族経営の工房から始まり、現在ではサステナブルな家具づくりと無垢材の表現で知られています。

ブースでは、厚みのある無垢材のテーブルや、木の表情をそのまま活かした家具に圧倒されました。

節、割れ、色の濃淡、木目のうねり。
日本の家具づくりでは、均一で整った材料を美しいと見ることも多いですが、Riva 1920 の家具には、木そのものの生命力をそのまま受け止めるような迫力がありました。

塗装職人の目線で見ると、こうした無垢材の仕上げは難しいものです。
塗り過ぎると素材感が消えてしまい、逆に薄すぎると保護性能が足りない。
木の表情を活かしながら、使う家具としてきちんと仕上げる。そのバランスの大切さを感じました。
arflex ― 日本にもつながるイタリアンデザイン
arflex(アルフレックス)は、日本でもよく知られている家具ブランドです。
arflexは、70年以上にわたりソファーやアームチェアなどの上質な家具を手掛けてきた、イタリアの歴史あるデザインブランドです。

また、日本では1969年に保科正氏がイタリアで学んだ後、日本での販売権とオリジナルデザインの製造権を得て、アルフレックス ジャパンを設立したという歴史があります。
展示を見ていると、ソファやチェアの柔らかさ、座ったときの包まれるような雰囲気、空間全体の落ち着いた見せ方が印象的でした。

家具は、見た目の美しさだけでなく、身体を預けたときの安心感も大切です。
張地の質感、クッションの厚み、木部や金属脚との組み合わせ。
座り心地や生活の中での使われ方まで含めて家具を見ることの大切さを感じました。
Ritzwell ― 日本の家具がミラノで見せる存在感

会場では、日本の家具ブランド Ritzwell(リッツウェル)の展示も見ることができました。

Ritzwell は1992年創業の日本のブランドで、Made in Japan の家具づくりを大切にしているブランドです。Salone del Mobile の紹介でも、日本的な哲学とミニマルな造形の融合を追求してきたブランドとして紹介されています。

海外ブランドが多く並ぶ中で、日本のブランドの展示を見ると、やはりどこか安心感があります。

派手に主張するというより、素材の質感、座り心地、細部の丁寧さで伝える。
そうした静かな強さが、Ritzwell の展示にはありました。

ミラノサローネという世界の舞台で、日本の家具が自然に並び、海外の来場者が足を止めて見ている。
その光景は、同じ日本の木工・家具に関わる者として、とても誇らしく感じました。
B&B Italia ― 現代デザインを牽引する存在感

イタリアを代表とする家具ブランドのひとつ、B&B Italia のブースも見学しました。
ブース全体の見せ方は、まさにブランドの世界観そのもの。
ブランドらしさを感じさせるデザインを一点一点じっくりと見せるスタイルの展示が、凄く見応えがありました。




あぁ・・・さすがです、B&B。
当然のごとく、どれもお洒落で完成度が高く、見て回っていると、上質な住宅やラウンジを歩いているような感覚がありました。

塗装職人としては、こうした完成された空間の中で、塗装面がどのように見えているのかが気になります。

やはり鏡面塗装は確実に高級感を演出していると感じました。
もの凄くレベルの高い塗装、ハイブランドとしての矜持を感じさせます。
上質な空間では、上質な塗装が、確実に全体の印象を支えているのだと感じました。
Minotti ― ラグジュアリーでありながら静かな空間
Minotti(ミノッティ)のブースも、とても印象に残りました。

Minotti は1948年、アルベルト・ミノッティによって小さな職人工房として始まったイタリアの家具ブランドです。世界中で愛されている最高峰のモダン家具ブランドですね。

Minottiの空間は、ラグジュアリーでありながら、決して派手すぎない。
色味は落ち着いていて、素材は上質。

家具の配置や照明の使い方も含めて、とても洗練された印象でした。

Minottiの展示を見ていると、むしろ余計なものを引き算し、素材と形の良さで見せることが本当の上質さなのではと感じました。
Salone Raritas ― 一点物の存在感に圧倒される
1日目には、2026年から新たに始まった Salone Raritas(サローネ・ラリタス)も見学しました。

Salone Raritas は、ミラノサローネで初めて登場した新企画で、コレクタブルデザイン、限定品、アンティーク、そして高度なクリエイティブクラフトに焦点を当てた展示です。

ここでは、量産家具とはまったく違う、アーティストによる一点物の家具やオブジェを見ることができました。家具というより、もはやアート作品に近いものも多く、その存在感に圧倒されました。

普段、家具塗装という実用性のある仕事に関わっている身としては、こうした“使うための家具”と“表現としての家具”の境界にある作品を見ることは、とても刺激的でした。
完成度や機能性だけでなく、作り手の感性や思想がそのまま形になっている。
そんな一点物の力を感じる展示でした。
午後3時、本会場を離れてCosentinoさんの新作発表会へ
1日目は、午後3時頃にミラノサローネ本会場を離れ、別会場に移動しました。
本会場の最寄り駅である Rho Fieramilano(ロー・フィエラ・ミラノ) から地下鉄に乗り、ミラノ中心部の Duomo(ドゥオーモ)駅方面へ。
向かった先は、Duomo 近くにある Cosenthino City Milano(コセンティーノ・シティー・ミラノ)です。

Cosenthino City Milano は、ミラノ中心部の Piazza Fontana 6にあるショールームで、ドゥオーモのすぐ近くに位置しています。

Cosenthinoさんは、Dekton(デクトン)や Silestone(サイルストーン)などで知られる、スペイン発のサーフェス素材(人工セラミックストーン)メーカーです。

今回の新作発表会では、さらに高性能な新しい素材ブランド ECLOS(エクロス)が紹介されていました。

実際にサンプルや展示を見て感じたのは、天然石のような表情を持ちながら、工業製品としての安定感や機能性も備えているということです。
天板、壁面、洗面、家具の面材など、使い方によって空間の印象を大きく変えられる、素晴らしい素材だと感じました。

ECLOS(エクロス)は、日本での販売はもう少し先になるようですが、こうした新素材を現地でいち早く見られたことは、とても貴重な体験でした。
Cosentinoさんショールームの後は夕食会へ
Cosentinoさんのショールーム見学を終えたあとは、ツアー参加者による夕食会へ向かいました。

地下鉄で Lima(リマ)駅まで移動し、そこから徒歩10分ほど。
向かったのは、Ristorante Pizzeria Sabathini(リストランテ・ピッツァリア・サバティーニ)というお店です。

Sabatini は、1950年代から続く老舗イタリアンレストランで、ミラノ料理やピッツァ、コトレッタなどを楽しめるお店として紹介されています。店内はどこか昔ながらの趣があり、きちんとしたレストランでありながら、肩肘張らずに食事を楽しめる温かい雰囲気がありました。

旅先で同じ目的を持った方々と食事を囲む時間は、展示会場を歩いている時とはまた違った楽しさがあります。
お料理も美味しく、お店の雰囲気も良く、この日もミラノでの夜をしっかりと味わうことができました。
朝から Fiera Milano Rho を歩き、午後には Cosentinoさんのショールームへ移動し、最後は皆さんと夕食会。
とても濃い1日でしたが、心地よい疲れと共にホテルへ戻りました。
・
・
・
気付いたら・・・本会場1日目だけでかなり長い文章になってしましたね(汗)
今回はこの辺にしておきましょう。
~塗装職人が巡る、ミラノサローネ2026視察レポート3 会場編Part2につづく~
次回は、本会場での2日目の様子をレポートしたいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに!!
●ニシザキ工芸株式会社塗装部HP
https://tosou.nishizaki.co.jp/
●特注家具・ニシザキ工芸株式会社HP
https://www.nishizaki.co.jp/
世界の家具づくりに触れる ミラノサローネ2026視察レポート
第2部・会場編 Fiera Milano Rhoで見た世界のデザイン

~前回、塗装職人が巡る、ミラノサローネ2026視察レポート1 出発編からの続き~
前回の第1部では、羽田空港を出発し、ヘルシンキ経由でイタリア・ミラノへ到着した初日の様子をレポートしました。
今回の第2部では、いよいよミラノサローネ本会場、Fiera Milano Rho(フィエラ・ミラノ・ロー)での視察の様子をお届けします。
私たちが本会場を訪れたのは、4月23日と24日の2日間。
ミラノサローネ2026の会期は4月21日から26日までで、2026年は167カ国から316,342人来場したとのこと。数字だけを見ても、世界中の家具・インテリア関係者が集まる大きなイベントであることが分かります。
ホテルの朝食から始まる、ミラノの1日
滞在中は、毎朝ホテルでのブッフェ形式の朝食をいただくことができました。

朝食会場には、本格的なパンやチーズ、生ハム、卵料理、フルーツ、エスプレッソコーヒーなど、さまざまな料理が並んでいました。

日本のホテル朝食とはまた違い、パンやチーズ、生ハムの種類が豊富で、朝から「ヨーロッパに来ているんだな」と感じさせてくれる内容です。

会場の雰囲気も落ち着いていて、どこか優雅。
これから世界最大級の家具見本市を見に行くという高揚感もあり、朝食を食べながらも気持ちはすでに会場に向かっていました。
チャーターバスで Fiera Milano Rho へ

会場へは、ホテルからチャーターしたバスで移動しました。
送迎は行きのみで、ホテル前にバスが到着し、朝8時半に出発です。
会場までは約1時間くらい。

バスに乗り込み、いよいよ本会場へ。
車窓から見えるミラノ郊外の風景は、日本の街並みとはやはりどこか違います。建物の色、道路の広さ、看板の雰囲気、走っている車。何気ない景色の一つひとつが新鮮に感じられました。
「どれほど大きな展示会なのだろう」
「世界のトップブランドは、どんな空間を見せてくれるのだろう」
そんな期待と、少しの緊張が入り混じった、なんとも言えないドキドキ感がありました。
Fiera Milano Rho とはどんな会場か

今回の会場となった Fiera Milano Rho(フィエラ・ミラノ・ロー)は、ミラノ郊外のロー地区にある大規模展示会場です。

Fiera Milano 自体の歴史は古く、1920年に最初のミラノ見本市が開かれたことに始まります。
現在のRho会場は、建築家マッシミリアーノ・スクサスによって設計され、2005年秋に開業した近代的な展示施設です。

会場は20の大きなパビリオンが、約1㎞にわたる歩行者通路の両側に並ぶ構成になっており、そのスケールはまさに巨大。

実際に会場に到着すると、まずその大きさに圧倒されます。
ただ展示ブースが並んでいるだけでなく、会場そのものがひとつの都市のようです。広い通路、続いていくパビリオン、各国から集まった来場者。
「これは1日で見きれる規模ではない」と入場してすぐに感じました。
2026年は“キッチンの年”
ミラノサローネには、毎年開催される家具の展示に加え、年によって大きな専門見本市が組み合わされるのも特徴です。
2026年は、偶数年に開催されるキッチン見本市 EuroCucina(エウロクッチーナ)の年でした。
EuroCucinaは、キッチン空間に特化した隔年開催の国際見本市で、FTK(Technology For the Kitchen)とともに開催されました。
一方、奇数年には照明の見本市 Euroluce(エウロルーチェ)が開催されます。
Euroluceは照明デザイン、技術、革新、サステナビリティに関する隔年展示です。
また、ミラノサローネは毎年同じように見えて、実は年ごとにテーマの違いがあります。
2026年は「A Matter of Salone」をメインテーマに掲げられており、デザインの起源である「素材(マテリアル)」そのものにフォーカスし、素材が持つ意味や人間の手による加工プロセスを改めて意識した展示になっていたようです。
家具塗装の仕事をしている私としても、キッチンはとても興味深い分野ですし、扉の仕上げ、天板の素材、木部と金属、石材、セラミック、ガラスとの組み合わせ。
家具単体ではなく、空間全体の中で素材や仕上げがどう見えてくるのかを考えるうえで、とても刺激の多い展示でした。
業界関係者で賑わう会場
ミラノサローネ2026は、4月21日から26日の6日間の開催でした。
公式情報では、トレードビジター(業界関係者)は会期中の全日程で入場が可能でしたが、一般公開日は週末にあたる25日、26日のみに設定されていました。

私たちが会場入りした23日、24日は、まだ一般公開前ということもあり、身動きが取れないほどの大混雑ではありませんでした。
とは言え、会場は多くの業界関係者であふれていて、人気ブランドのブースには長蛇の列ができていました。

世界中から集まった人たちが、それぞれ真剣に展示を見て、写真を撮り、商談をし、会場を歩いている。その空気感だけでも、ここが単なる展示会ではなく、世界の家具・インテリア業界が動く場所なのだと感じました。

会場では、別便でミラノサローネ視察に来ていた弊社営業部のメンバーとも合流し、一緒に行動することができました。
同じ展示を見ても、塗装職人として見る視点と、営業としてお客様に提案する視点では、感じ方が少し違います。それぞれの目線で感想を交わしながら歩けたことも、とても貴重な時間でした。
4月23日・会場視察1日目
BERLONI ― 暮らしの中心としてのキッチン
まず印象に残ったのが、イタリアのキッチンブランド BERLONI(ベルローニ)です。

BERLONIは60年以上にわたり、キッチンやリビングシステムを手掛けてきたブランドで、デザイン性、品質、機能性を組み合わせたキッチンを展開しています。

会場で見たキッチンは、単なる調理設備というより、リビング空間と一体になった家具のようでした。
大きな面材、整ったライン、収納の見せ方、素材の切り替え。

扉の仕上げひとつを見ても、艶の出し方、マット感、エッジの納まりに気を配っていることが伝わってきます。

キッチンは水や油、熱、手垢など、家具以上に過酷な環境で使われるものです。
それでいて、今のキッチンには家具のような美しさが求められる。
その両立の難しさと面白さを感じました。
Riva 1920 ― 無垢材の迫力と存在感
木工に関わる人間として、強く惹かれたのが Riva 1920(リーヴァ1920)です。

Riva 1920 は、1920年にイタリア・ブリアンツァ地方のカントゥで始まった、無垢材家具を得意とするブランドです。小さな家族経営の工房から始まり、現在ではサステナブルな家具づくりと無垢材の表現で知られています。

ブースでは、厚みのある無垢材のテーブルや、木の表情をそのまま活かした家具に圧倒されました。

節、割れ、色の濃淡、木目のうねり。
日本の家具づくりでは、均一で整った材料を美しいと見ることも多いですが、Riva 1920 の家具には、木そのものの生命力をそのまま受け止めるような迫力がありました。

塗装職人の目線で見ると、こうした無垢材の仕上げは難しいものです。
塗り過ぎると素材感が消えてしまい、逆に薄すぎると保護性能が足りない。
木の表情を活かしながら、使う家具としてきちんと仕上げる。そのバランスの大切さを感じました。
arflex ― 日本にもつながるイタリアンデザイン
arflex(アルフレックス)は、日本でもよく知られている家具ブランドです。

arflexは、70年以上にわたりソファーやアームチェアなどの上質な家具を手掛けてきた、イタリアの歴史あるデザインブランドです。

また、日本では1969年に保科正氏がイタリアで学んだ後、日本での販売権とオリジナルデザインの製造権を得て、アルフレックス ジャパンを設立したという歴史があります。
展示を見ていると、ソファやチェアの柔らかさ、座ったときの包まれるような雰囲気、空間全体の落ち着いた見せ方が印象的でした。

家具は、見た目の美しさだけでなく、身体を預けたときの安心感も大切です。
張地の質感、クッションの厚み、木部や金属脚との組み合わせ。
座り心地や生活の中での使われ方まで含めて家具を見ることの大切さを感じました。
Ritzwell ― 日本の家具がミラノで見せる存在感

会場では、日本の家具ブランド Ritzwell(リッツウェル)の展示も見ることができました。

Ritzwell は1992年創業の日本のブランドで、Made in Japan の家具づくりを大切にしているブランドです。Salone del Mobile の紹介でも、日本的な哲学とミニマルな造形の融合を追求してきたブランドとして紹介されています。

海外ブランドが多く並ぶ中で、日本のブランドの展示を見ると、やはりどこか安心感があります。

派手に主張するというより、素材の質感、座り心地、細部の丁寧さで伝える。
そうした静かな強さが、Ritzwell の展示にはありました。

ミラノサローネという世界の舞台で、日本の家具が自然に並び、海外の来場者が足を止めて見ている。
その光景は、同じ日本の木工・家具に関わる者として、とても誇らしく感じました。
B&B Italia ― 現代デザインを牽引する存在感

イタリアを代表とする家具ブランドのひとつ、B&B Italia のブースも見学しました。

ブース全体の見せ方は、まさにブランドの世界観そのもの。
ブランドらしさを感じさせるデザインを一点一点じっくりと見せるスタイルの展示が、凄く見応えがありました。




あぁ・・・さすがです、B&B。
当然のごとく、どれもお洒落で完成度が高く、見て回っていると、上質な住宅やラウンジを歩いているような感覚がありました。

塗装職人としては、こうした完成された空間の中で、塗装面がどのように見えているのかが気になります。

やはり鏡面塗装は確実に高級感を演出していると感じました。
もの凄くレベルの高い塗装、ハイブランドとしての矜持を感じさせます。
上質な空間では、上質な塗装が、確実に全体の印象を支えているのだと感じました。
Minotti ― ラグジュアリーでありながら静かな空間
Minotti(ミノッティ)のブースも、とても印象に残りました。

Minotti は1948年、アルベルト・ミノッティによって小さな職人工房として始まったイタリアの家具ブランドです。世界中で愛されている最高峰のモダン家具ブランドですね。

Minottiの空間は、ラグジュアリーでありながら、決して派手すぎない。
色味は落ち着いていて、素材は上質。

家具の配置や照明の使い方も含めて、とても洗練された印象でした。

Minottiの展示を見ていると、むしろ余計なものを引き算し、素材と形の良さで見せることが本当の上質さなのではと感じました。
Salone Raritas ― 一点物の存在感に圧倒される
1日目には、2026年から新たに始まった Salone Raritas(サローネ・ラリタス)も見学しました。

Salone Raritas は、ミラノサローネで初めて登場した新企画で、コレクタブルデザイン、限定品、アンティーク、そして高度なクリエイティブクラフトに焦点を当てた展示です。

ここでは、量産家具とはまったく違う、アーティストによる一点物の家具やオブジェを見ることができました。家具というより、もはやアート作品に近いものも多く、その存在感に圧倒されました。

普段、家具塗装という実用性のある仕事に関わっている身としては、こうした“使うための家具”と“表現としての家具”の境界にある作品を見ることは、とても刺激的でした。
完成度や機能性だけでなく、作り手の感性や思想がそのまま形になっている。
そんな一点物の力を感じる展示でした。
午後3時、本会場を離れてCosentinoさんの新作発表会へ
1日目は、午後3時頃にミラノサローネ本会場を離れ、別会場に移動しました。

本会場の最寄り駅である Rho Fieramilano(ロー・フィエラ・ミラノ) から地下鉄に乗り、ミラノ中心部の Duomo(ドゥオーモ)駅方面へ。
向かった先は、Duomo 近くにある Cosenthino City Milano(コセンティーノ・シティー・ミラノ)です。

Cosenthino City Milano は、ミラノ中心部の Piazza Fontana 6にあるショールームで、ドゥオーモのすぐ近くに位置しています。

Cosenthinoさんは、Dekton(デクトン)や Silestone(サイルストーン)などで知られる、スペイン発のサーフェス素材(人工セラミックストーン)メーカーです。

今回の新作発表会では、さらに高性能な新しい素材ブランド ECLOS(エクロス)が紹介されていました。

実際にサンプルや展示を見て感じたのは、天然石のような表情を持ちながら、工業製品としての安定感や機能性も備えているということです。
天板、壁面、洗面、家具の面材など、使い方によって空間の印象を大きく変えられる、素晴らしい素材だと感じました。

ECLOS(エクロス)は、日本での販売はもう少し先になるようですが、こうした新素材を現地でいち早く見られたことは、とても貴重な体験でした。
Cosentinoさんショールームの後は夕食会へ
Cosentinoさんのショールーム見学を終えたあとは、ツアー参加者による夕食会へ向かいました。

地下鉄で Lima(リマ)駅まで移動し、そこから徒歩10分ほど。
向かったのは、Ristorante Pizzeria Sabathini(リストランテ・ピッツァリア・サバティーニ)というお店です。

Sabatini は、1950年代から続く老舗イタリアンレストランで、ミラノ料理やピッツァ、コトレッタなどを楽しめるお店として紹介されています。店内はどこか昔ながらの趣があり、きちんとしたレストランでありながら、肩肘張らずに食事を楽しめる温かい雰囲気がありました。

旅先で同じ目的を持った方々と食事を囲む時間は、展示会場を歩いている時とはまた違った楽しさがあります。
お料理も美味しく、お店の雰囲気も良く、この日もミラノでの夜をしっかりと味わうことができました。
朝から Fiera Milano Rho を歩き、午後には Cosentinoさんのショールームへ移動し、最後は皆さんと夕食会。
とても濃い1日でしたが、心地よい疲れと共にホテルへ戻りました。
・
・
・
気付いたら・・・本会場1日目だけでかなり長い文章になってしましたね(汗)
今回はこの辺にしておきましょう。
~塗装職人が巡る、ミラノサローネ2026視察レポート3 会場編Part2につづく~
次回は、本会場での2日目の様子をレポートしたいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに!!
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